こんにちは。
初めての方も、おなじみの方も、読んでくださってありがとうございます。
“困っタコラム”始まります。
前回は、家庭での食事をめぐる親子のぶつかり合いが、実は病気(困っタコ)に翻弄されているからだというお話でした。
【第3話】こうなったのは誰のせい
【第2話】痩せているのに太って見える?
【第1話】困っタコって、何者?!
今回は、学校の部活動についてお届けします。
それでは、第4話です。どうぞ!
運動がやめられない?!~頑張りすぎの正体~
――― 部活後の体育館。さらに個人練習をする、ゆいの姿が ―――

もっと走り込まなきゃ。もっとシュートの精度を上げなきゃ。
痩せたらもっと早く走れるはず・・・。太らないようにしないと。
部活終わりに余計なもの食べたら最悪だし、部活にも支障が出ちゃうし・・・

跳田先生
ゆいさん、もう終わりにしよう。無理すると体がもたないぞ。

あ、跳田先生。大丈夫です!
まだ動けますし、シュート練習してから上がります。

いつも真面目で練習熱心なのは知ってるけど、最近顔色が悪いんだよなぁ。
ふらついているようにも見えるし・・・ちょっと心配だ。

ゆいさん、なんだか疲れているように見えるぞ。
保健室の先生も最近、体重減少を気にしてた。
授業中にぼーっとしてたって聞いたけど・・・大丈夫か?

平気です。
少しでも太ったら動きにくくなるし、先生だって試合で勝ちたいですよね?
私の方がわかってますから!
――― 跳田先生が職員室に戻ると ―――

草野先生
あ、跳田先生、お疲れさまです。
最近、ゆいさんの様子、ちょっと気になりますね。成長曲線の伸びも良くないようですし。
私も何度か声をかけたけど、「太るのが嫌」って強く拒否するんです。食事もあまり摂っていないようだし・・・。

そうなんですよ、今日も延々と練習していて、やめるように言っても全然聞かないんですよ。
うちの部は試合が近いから、つい見守ってしまうけど、さすがに心配になってきました。

私たちだけで抱え込むのは難しそうですね。
摂食障がい治療支援コーディネーターに相談できるって聞いたことがありますよ。
一度、話してみませんか?

いいですね、どう対応したらよいか、聞いてみましょう。
――― 相談窓口に電話をかける ―――

はじめまして、福々高校 養護教諭の草野と申します。
実は、心配な生徒がいまして。
部活の練習が終わってもずっと走り込みを続けて、食事もあまり摂っていないようなんです。
本人は「太りたくない」という強い気持ちがあるようで、周囲が何を言っても聞き入れず・・・。
身体測定の結果も、成長曲線の伸びが良くありません。

先生も心配ですね。
実際に、摂食障がいでは、過度な運動でカロリーを消費しようとする行動がよく見られます。
「頑張りすぎ」「やめられない」などといった行動を過活動といいます。
太る恐怖が大きいために、自分を追い込みすぎてしまうんです。

過活動・・・
ゆいさんも自分を追い込んでいたんですね。

周囲が心配するほど、ゆいさんは「もっと痩せなきゃ動きにくくなる」とか「太ったら価値がない」といった思いに支配されているのかもしれません。
これは、ゆいさんが「性格的におかしい」とか「わがまま」なのではなく、“困っタコ”が強く働きかけている状態と考えられます。

困っタコ!ホームページで読みました。

それに、摂食障がいは、食事や体重の問題だけでなく、完璧主義や強迫的な傾向が関係していることも多いんです。
「もっとやらなきゃ」「ちゃんとしなきゃ」という思いが強くて、たとえば運動も「やめたくてもやめられない」。手を抜いたりサボったりすると、自分を責めてしまったり、ひどい罪悪感を感じてしまう子もいます。
それだけ追い詰められている状態なんですね。


なるほど。
本人は「努力しているだけ」って思っていても、実は「やめられない」こと自体がサインになっているのかもしれませんね。

★ 声かけのポイント ★
・まず感情に寄り添う
「最近、疲れてない?」「何か心配ごとはある?」
・命令ではなく、心配している気持ちを伝える
「たくさん走ってるから、体が苦しくなってないか心配だよ」
・困っタコの存在に触れる
「もしかして困っタコのせいで、太るのがすごく怖く感じるのかもね」
・理解したいという姿勢を見せる
「部活をがんばってるのは伝わってる。一緒に何かできないか考えたいな。」

困っタコではなく、本人の気持ちを聞くことが大切なんですね。
第4話、いかがでしたか?
一見“頑張り屋さん”に見える子でも、過活動が困っタコのサインであることがあります。
摂食障がいは「食べない」だけではなく、「休めない」「やめられない」などの行動で現れることもあります。
周囲の人が困っタコという病気の存在を意識することで、「誰かを責める」から「一緒に向き合う」姿勢へと変えることができます。
次回は、「楽しく食べるを取り戻す」について取り上げたいと思います。
お楽しみに。
またお会いしましょう。