こんにちは。
初めての方も、おなじみの方も、読んでくださってありがとうございます。
“困っタコラム”始まります。
前回は、お父さんが作ったカレーの匂いをきっかけに、ゆいちゃんが「また楽しく食べられるようになりたい」と“うふふのタネ”の存在に気づき、受診を決意したお話でした。
【第5話】食べることは栄養補給だけじゃない~摂食障がいの回復とは~
【第4話】運動がやめられない?!~頑張りすぎの正体~
【第3話】こうなったのは誰のせい
【第2話】痩せているのに太って見える?
【第1話】困っタコって、何者?!
しかし、いざ病院に行くとなると、また新たな壁が立ちはだかることも少なくありません。
今回は、受診を目前にした家庭の様子をお届けします。
それでは、第6話です。どうぞ!
行きたい、でも行けない・・・~揺れ動く心と受診の壁~
――― 病院へ行く約束の日の朝 ―――

ゆい、そろそろ病院に行く時間よ。準備できてる?

やっぱり行かない。私、別に病気じゃないし。

え?この前「ちゃんと治したい」って自分で言ったじゃないか。

行ったら絶対に「太れ」って言われるもん!
怖い!絶対に行かないから!
――― ゆいは部屋にこもってしまいました ―――

あんなに行くって約束してたのに・・・。
無理やり引っ張っていくわけにもいかないし、どうしたらいいの。
――― 相談窓口に電話をかける ―――

こんにちは!

コーディネーターさん、実は・・・娘が当日になって受診を嫌がりまして。
“困っタコ”がまた暴れ出したみたいなんです。

お父さま、お母さま、ご心配ですね。
実は、受診前の「やっぱり行かない」という反応はよくあることなんですよ。

そうなんですか?!
「治したい」って言っていたのは嘘だったんでしょうか・・・。

決して嘘ではありません。
ゆいさんの心の中には、治して「楽しく食べたい」という本来の気持ち“うふふのタネ”がある一方で、困っタコがそれを隠しながら「病院に行ったら太らされちゃう!」と本人にささやくことで、激しく抵抗している状態なんです。

「治したい」けれど「向き合うのが怖い」。
ふたつの気持ちの間で激しく葛藤することがあるんですよ。


どちらの気持ちもあるからこそ、せめぎ合い、苦しんでいたんですね。

では、親はどう接すればいいんでしょうか?
約束を破ったことを怒りたくなってしまいます・・・。

無理に連れ出そうとすると、かえって困っタコを刺激してしまいます。
いくつか工夫をしてみましょう。

★ 声かけのポイント ★
・「行きたくない」を生み出している恐怖に共感する
「困っタコが邪魔をして、怖くなっちゃったんだね」
約束を守るように正論で引っ張るのではなく、まずは本人が感じている恐怖を受け止めます。
・日常の苦痛に焦点を当てる
「体のつらさや、できなくてしんどいことだけ、お医者さんに相談してみよう」
体重や食事の話をすると身構えてしまいます。別の困りごとが発生していないか日頃の様子を振り返ることで、本人の感じている苦痛に寄り添い、安心させましょう。
身体:強いだるさや寒気、日中の眠気に悩まされていませんか?
生活:熱心だった部活動に行かなくなったり、友達と遊ばなくなっていませんか?
・家族だけで相談に行く
「じゃあ、お父さんとお母さんだけで話を聞いてくるね」
どうしても本人が行けない場合、まずはご家族だけで受診や相談窓口を利用してみてください。

なるほど。無理やり引っ張っていくのではなく、安心させることが大切なんですね。
――― 再び、ゆいの部屋の前で ―――

ゆい、病院に行くのが怖くなっちゃったんだな。
困っタコが「行っちゃダメ」って言ってるのかもしれないな。

・・・うん。行ったら、無理やり食べさせられる気がして怖い。

最近、ずっと体がだるそうだし、寒気や眠気もあって、つらそうよ?
それに、あんなに頑張っていた大好きなバスケにも行けなくなってしまって、ゆいが一番苦しいよね。今日はその「つらさ」についてだけ、お医者さんに相談してみない?

眠れないことだけ?無理やり食べさせられない?

あぁ。嫌だったら話を聞くだけでもいいんだ。
どうしても今日行くのが難しければ、まずはお父さんとお母さんだけで先生の話を聞いてくることもできるよ。

・・・。
――― ゆいはうつむいたまま、ギュッと毛布を握りしめました ―――
第6話、いかがでしたか?
「治したい」という気持ちと「病気(困っタコ)と向き合うのが怖い」という気持ちの間で激しく葛藤するのは、回復の過程でよく見られる姿です。
また、ご本人が価値を置いている活動(部活や友人関係など)ができなくなっている辛さや、だるさ・寒気・眠気といった身体症状に目を向けることで、受診へのハードルが下がることもあります。
ご本人がどうしても受診できない場合でも、決してご家族だけで抱え込まず、まずは学校の先生や病院、相談窓口にご相談ください。
さて、ゆいちゃんは今日、病院へ行くことができるのでしょうか?
気になる続きは、次回へ持ち越しです!
お楽しみに。
またお会いしましょう。

