こんにちは。
初めての方も、おなじみの方も、読んでくださってありがとうございます。
“困っタコラム”始まります。
前回は、部活動での頑張りすぎ(過活動)について、それが実は病気( 困っタコ )のサインかもしれないというお話でした。
【第4話】運動がやめられない?!~頑張りすぎの正体~
【第3話】こうなったのは誰のせい
【第2話】痩せているのに太って見える?
【第1話】困っタコって、何者?!
今回は、いよいよ「楽しく食べるを取り戻す」についてお届けします。
それでは、第5話です。どうぞ!
食べることは栄養補給だけじゃない~摂食障がいの回復とは~
――― 日曜日の昼下がり ―――

よしっ、できたー!
ゆい、お母さん、お昼ごはんできたよ。

え・・・お父さんが今日ごはん作ったの?

そう!久しぶりに作ったんだ、 特製「お父さんカレー」だよ。
ゆい、小さい頃これ大好きだったでしょ?「お店のよりおいしい」って。
――― スパイシーな香りが漂います ―――

うわぁ、懐かしい匂い。小さい頃、キャンプで食べた時のこと思い出すなぁ。
みんなで笑って、「おいしいね」って言い合って。あの時は楽しかったな。

でも、ルーは油と小麦粉の塊だし、ご飯も糖質が多い。
今の私には、これは「爆弾」にしか見えない。食べたら絶対に太る。怖い・・・

どうしたの?冷めないうちに食べよう。 たっぷりよそったよ。

ごめん、私、いらない。 お腹空いてないから。

えっ?でもこれ、ゆいの好物でしょ?一口だけでもどう、おいしいよ?

食べたい気持ちはあるけど、怖いの。どうしても手が動かない。

無理だって言ってるじゃない! そんなに食べさせようとしないでよ!
――― ゆいは自分の部屋へ行ってしまいました ―――

なんだ、せっかく作ったのに・・・。
昔はあんなに喜んで食べてくれたのに、どうしてこうなっちゃったんだろう。

お父さん、落ち込まないで。あの子も苦しんでいるのよ。
・・・そうだ、先日相談した摂食障がい治療支援コーディネーターさんに、お父さんも話を聞いてみない?

そうしよう。
――― 相談窓口に電話をかける ―――

こんにちは!

父親です。 実は先日、娘の好物だったカレーを作ったんですが、頑なに拒否されてしまいまして・・・。
私は、娘にただ食べさせたかったわけじゃないんです。昔みたいに、笑い合って楽しい時間を過ごしたくて。

お父さま、そのお気持ち、とても素敵です。
そして、今おっしゃったことが回復において最も大切なポイントなんです。
うふふと笑顔で楽しく食べた記憶、それが“うふふのタネ”です。

うふふのタネ・・・?

はい。 単にカロリーや栄養を体に入れるだけの食事は栄養補給です。
キャンプでカレーをほおばったときの、「おいしい」と思った味わいや、誰かと食べて安心した時間など五感で感じた記憶は、きっとゆいさんのこころの中に残っているはずです。

今のゆいさんは、 “困っタコ”がうふふのタネを隠してしまったせいで、頭の中が「カロリー計算」や「太る恐怖」でいっぱいになっています。 つまり、食事が「楽しむもの」ではなく、単なる栄養補給になってしまっているんです。
だから、お父さんのカレーを見ても、思い出よりも先に恐怖が来てしまったんですね。

そうか・・・。娘は、食事を楽しむ余裕なんてないくらい、追い詰められていたんですね。
――― 時間が経ち、ふと冷静になったゆい ―――

・・・私、いつから食事を楽しめなくなったんだろう。
お父さんのカレー、本当は食べたかった。みんなと笑いたかった。
痩せていることと引き換えに、私は「楽しい時間」を全部捨てちゃってるのかもしれない・・・

・・・お父さん、ごめんなさい。 私、本当はカレーの匂い、すごく懐かしかった。
でも、どうしても怖くて食べられなかったの。

ゆい・・・教えてくれてありがとう。

ゆいさん、そう感じているのなら、うふふのタネはちゃんとこころの中に残っています。
治療は、あなたを変えることではありません。
困っタコとあなた自身の声を分けていき、うふふのタネに少しずつ水をあげることなんです。
一緒に育てていきましょう!


私、もう一度、みんなとおいしくごはんが食べられるようになりたい。
カロリーとか体重とか、そんなこと気にしないで、お父さんのカレーを「おいしい」って笑って食べたい。
・・・私、病院に行ってみる。ちゃんと治したい。

うん、一緒に受診しよう。
第5話、いかがでしたか?
困っタコ は、食事から「楽しさ」や「団らん」を奪い、単なる数字や恐怖の対象に変えてしまうことがあります。 でも、ゆいさんのように「また笑って食べたい」「楽しさを取り戻したい」とうふふのタネの存在に気づいたときが、回復への第一歩です。
回復のゴールは、食事を単なる栄養補給ではなく、楽しく食べられるようにすること。 お父さんのカレーが、いつかまた家族の笑顔の真ん中にあることを願っています。
次回、ゆいさんは受診し、おいしくお父さんカレーを食べられるようになるのか?!
お楽しみに。
またお会いしましょう。

